抄録
本稿は九州8 県における戦後1955 年以降の産業構造の変化を分析し,各県における産業構造の競合性と補完性を分析する。まず,産業構造を独自の手法を用いて指標化し,指標の時系列変化をもって産業構造の傾向を分析する。次に,産業構造の将来予測をマルコフ連鎖を用いた確率モデルで推計する。そして,予測前と予測後の産業構造について,競合性と補完性を議論する。九州の長期的な産業構造は第1 次産業,第2 次産業,第3次産業の順に主力産業が移っていることが分かるが,この変化の時期が各県で若干異なることが分かる。また,製造業のみの産業構造変化を調べた場合,各県で特徴的であることが分かる。したがって,製造業は各県で比較的補完的な関係であるといえる。