抄録
本研究は,産業連関分析の拡張可能性について,2 つの方向から考察した。1 つは,様々
な産業連関分析モデルを紹介し,経済効果の違いを逆行列から分析した。もう1 つは,産業
連関分析における経済効果の変動可能性を,モンテカルロシミュレーションを通じて分析し
た。北九州市の産業連関表を用いた分析の結果,いくつかのモデルにおいて,経済効果がマ
イナスになる可能性が生じることが判明した。これは,北九州市の経済が市内で完結してお
らず,移輸入を必要としているからである。変動可能性については,投入係数のみの実験と
したので,モデルが複雑になるほど,変動可能性が小さくなることが分かった。また,本研
究では,北九州市の物流拠点の発展を勘案した個別分析を行っているが,適度な経済効果が
見られることも分かった。