抄録
港湾施設の中で建設後50年を経過するものが増加するなか,水中部の点検を実施する潜水士の数は年々減少傾向にある.今後,定常的に発生する港湾施設の点検に対し,潜水士による点検の代替手法として広域かつ短時間に水中部を計測可能な技術を確立することが必要不可欠である.本研究の技術は計測機器と潜水士を併用して運用し,点検の効率化を目指すため計測機器のリアルタイム性が重要となる.本稿では,水中部をリアルタイムに可視化可能な水中ソナーを用いた護岸計測実験を実施し,計測結果と潜水士による実測結果を比較することでリアルタイム水中ソナーを使用した際の計測精度を確認するとともに,港湾施設の点検診断ガイドラインに定められた点検項目の中で代替可能な項目について確認したことを報告する.