抄録
コンピュータグラフィクスにおいて流体のリアルな動きを表現するためにシミュレーションに基づく方法が広く用いられている。自由表面を伴う流体シミュレーションにおいては、自由表面の動き正確に追跡することが重要となる。自由表面の追跡手法としてレベルセット法があるが、一般的な実装では数値拡散に伴う誤差が問題となることが知られている。この問題を解決するためにパーティクルレベルセット法が提案されたが、精度を向上させるための代償として高い計算コストがかかり、特に大きなスケールの現象のシミュレーションにおいて問題となる。そこで本稿は近年ますます性能向上を続けるグラフィクスハードウェアに着目し、その高い並列計算能力を利用してパーティクルレベルセット法を高速に実行する手法を提案する。本手法により従来のものと精度はそのままでありながら高速な表面追跡が行えることを示す。