抄録
意匠設計を行うデザイナにとって,曲線は製品や作品の形状やシルエットを決定するもっとも基本的なデザイン要素であり,それを美しく魅力的にすることは意匠設計の質を高めるために必要不可欠である.美しい曲線を定式化することが可能であれば,CAD 等のデザインツールを開発するうえで,曲線の生成や変形,その品質の評価等において,標準や規範となる曲線を定義,参照することが可能となり,デザインの質を著しく向上させることが期待できる.そのような意匠設計の規範となる曲線を表す式として著者らは「美しい曲線の一般式」を提案した.しかしながら,美しい曲線の一般式を満たす曲線,すなわち美的曲線は平面曲線に限定されているとともに,既存のCAD システムとの互換性を保証するためにはB-spline 曲線への近似による変換が望まれる.そこで,本研究では平面曲線が自己アフィン性を持つための必要十分条件を明らかにするとともに,美的曲線を3 次元に拡張する.また,位置の誤差を最小化する最小自乗法と,位置とともに曲率の誤差を最小化する共役勾配法により,美的曲線を近似する3 次B-spline 曲線を求める.