抄録
この論文では,ビデオ映像に含まれる振動成分を取り除くための処理の計算をGPUを用いて行う手法を提案する.映像の安定化処理には,グローバルモーションの推定,振動補正,モザイキングの3つの処理を行うが,CPUでこれらの処理を行うと処理時間が長く,その中でもグローバルモーションの推定が処理の大半を占めている.そこで,並列処理が可能なGPUで計算処理を行うことで処理時間の短縮を計った.提案した手法は,ビデオ映像のフレーム画像をテクスチャデータとしてGPUに転送し計算を行い,計算結果をオフスクリーンバッファに描画し,ピクセルの値を読み込むことによって結果を得る.ピクセルを読み込む速度は描画速度に比べて時間がかかるため,計算結果を1つのピクセルにまとめることで,読み込み時間を短縮することに成功した.