本研究では, ブラシストロークにより描かれた絵画調画像に対して有効な情報埋め込み手法を提案する.本手法では,画像をN×Mのブロックに分割し,各ブロックに2bitの情報を割り当てる.次に,それぞれのビットパターンにより0~135°の45° 刻みでブロック内のストロークの方向を埋め込み情報に従って決定する.ストロークの色はそのストロークが描かれる領域の画素値により決定される.そして,ストロークの外縁と内部にそれぞれ,青色のノイズを加算,減算することにより青色成分に着目した場合のみエッジが生じるように操作する.情報の検出は,まずLaplacian of Gaussian フィルタとゼロ交差法によるエッジ検出を行う.次に,エッジ画像から円形領域を切り出しHough変換を用いて直線を検出し,直線の方向に対応するビットパターンとして情報を検出する.検証実験として,埋め込み情報量が150Byteの絵画調画像を生成し,100×148 mm のサイズで印刷したものをデジタルカメラで解像度を変えて撮影した.実際に数種の画像を用いて実験し,実用的に十分なアナログ雑音耐性を持つことを確認した.
抄録全体を表示