1994 年 59 巻 461 号 p. 69-79
動的シミュレーションは、空気調和システムやビルディングシステムの動的挙動解析のための手法として、設計上あるいは運転管理上、次第に重要になってきている。HVACSIM^+は、1985年に米国NISTで、空気調和システムの動的シミュレーションを目的に開発されたシミュレーションプログラムで、システムの構成要素をTYPEとよばれるサブルーチンで定義し、各TYPEの入出力関係とアルゴリズムを記述することでシステムを構築していく点に大きな特徴がある。本論文では、多様なシステム・制御に対応できるよう、オリジナルのHVACSIM^+に対して、新TYPEの開発、アルゴリズムの改良等を行い、種々の要素特性、制御方式、制御パラメータを有するいくつかのケースに対して動的シミュレーションを実行し、システムの動的挙動解析とエネルギー及び室内環境評価を試みる。また、いくつかのフォルトを含むケース結果により、エネルギー消費量と室内環境に基づくシステムフォルト検知の可能性についても議論する。