抄録
手術部・X線部・検査部等の所謂中央診療部は診療機能の中枢部を形成する。したがって病院における中央診療部の果すべき役割はきわめて重大といわねばならない。これらについては臨床医学はもとより, 基礎医学および関連諸科学の進展に支えられ, 一方では疾病構造の質的・量的変化との対応において, 将来の経時的な機能変化を予期せねばならない。これらの発展的変化との対応において建築的には, この部門の拡張性・融通性に充分な配慮が与えられる必要がある。さて一般に, 中央診療部の規模は病床規模との比例的対応関係で, たとえば200床の病院では, とゆう形式的基準によってきめられてきた。しかし中央診療部の利用は病院利用の実患者数に比例する。すなわち, 病床規模が同じでも, 外来患者数は施設の立地によってかなりの差をみせるし, 入院患者数も, 入院期間の長短による病床回転率の差によってかなりの差をしめす。したがって病床規模は, 中央診療部規模決定の1つの必要条件とはなりえても充分条件とはなりえないことが明らかである。したがって, ここでは新入院患者数・新外来患者数と中央診療部の利用件数との間に, 明らかな相関関係が成立することを確認して, これら2要因との関連ずけを行ない。その結果から中央診療部利用件数の算定を試み, さらに患者1人当りの使用率を検討し, その計画のための基礎的指標の提起をおこなった。