日本建築学会論文報告集
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身障者の住生活空間に関する研究・その 4 : 特目住宅の場合 1. 住み方の特徴
青木 正夫片岡 正喜中溝 信之村上 良知
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1975 年 238 巻 p. 97-105

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抄録
1)在身障者世帯の特目住宅における住み方の特徴は, 世帯構成に身障者を位置付けた世帯類型によって相違し, さらに同一の類型においても障害程度たる移行能力によって異る。2)それによると, 世帯において本来身障者があるべき位置における役割遂行を果そうとする傾向が著しい。それは夫が身障者の場合の住戸内就労及び妻(母親)が身障者の場合の家事労働に顕著である。3)特目居住の在身障者世帯の特徴的な住み方の第一は, ワンルーム的な使用傾向であり, これは夫婦のみや夫婦中心の少人数世帯または単身者世帯において, DKに隣接する居室を中心とする生活展開が目立ち, 次いで子どもが重度障害の場合に, 子ども室に自身の諸行為は勿論, 他の成員を含めた世帯のそれが集中しやすい。4)第二は, DKの使用状況で, 全体的にDKの使用率は高くなく, イス式と坐式とに二分され, これは現特目在身障者世帯の階層的特性と考えられる。この場合妻(主婦)が身障者のケースとそれ以外とではDK使用率に差があり, 前者は家事遂行上ハンディキャップが軽減され有利になるため使用率が高い。5)第三に, 住戸内就労による仕事場優先確保と専用化を計り他のヘヤヘの行為の集中重複の影響が大となる。これについては夫が身障者の場合に顕著である。
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© 1975 一般社団法人日本建築学会
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