抄録
正四角柱に種々の迎角をもって高レイノルズ数の乱流が作用する場合を想定した二次元非定常解析をおこないこの種の問題に対しての数値解析的手法の適用性, 適用範囲を明確にすることを試みた。得られた結果を要約するとつぎのとおりである。(1) 角柱周辺の気流 主流の乱れは25〜40%であった。角柱背後の平均逆流域は明確にとらえられたが, 迎角10°付近の上流側側面近傍における平均逆流域は表現されなかった。また, 迎角0°では後流の平均流速分布に相似性がほぼ満足された。ストローハル数は既往の実験結果と傾向的に近い値を示した。(2) 角柱表面の風圧力 平均圧力係数は迎角0°では背面負圧の回復など主流に乱れがある場合の既往の実験結果に近い値を得た。迎角10°, 15°における上流側側面の大きな負圧は表現されなかった。変動圧力係数, パワースペクトル, 空間相関係数は実験的に知られている部分については大きく矛盾しない結果を得た。(3) 角柱に作用する抗力・揚力 平均抗力係数は既往の実験結果の傾向におおむね類似しているが, 揚力係数については異なった結果を得た。パワースペクトル, 空力アドミッタンス等については, 実験的に知られている内容については大きくは違っていない結果が得られた。以上のところから, 今回の数値解析結果は概括的にいえば既往の実験結果とのへだたりは小さいといえる。しかしながら, 上流側側面隅角部の負圧といったような極めて微妙な問題を扱うには今回の計算格子間隔は大きすぎるようである。