抄録
以上, シリアの特に内陸乾燥地における農村住居の分析を行なった。前稿における湿潤熱帯の伝統的住居様式と比較考察すると, 気候を主とする自然環境が農村住居の様式形成の主要因であったことが明らかとなる。経済環境の変化が急激で大きくても, これらの自然要因に変化はない。また, 労働環境, 資源の問題を考慮すると, 土着の技術を改善していくことが望ましい。本研究では, 伝統的住居の特性と自然要因との関連を解明した。本研究をすすめるにあたり, シリア政府田園都市省のA.Chakkar局長, 国連専門家(当時)の番匠谷堯二氏, クインズランド大学B.S.Saini教授の協力を得た。