日本建築学会論文報告集
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住宅事情の「地方性」に関する都市類型 : (その 2) 都市類型における住宅需給基盤要因の特徴
眞嶋 二郎
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1978 年 274 巻 p. 111-118

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抄録
以上の分析をまとめて, その主要点をあげると, 1)前編の2章で仮定した都市化の需給基盤要因にみられる3側面-[集中・変動性], [階層性], [地域構造・地域機能]が第1成分(都市性)・第2成分(変動性)・第3成分(中心性)によって具体的に説明される。このことは逆に都市化の状況の説明変数として上記3成分の組合せが概ね妥当性をもつということができる。2)第1成分は「都市性」として, 人口の階層構造の主要な説明変数となり, 人口の市街地集積性および人口の移動性ともかかわりをもっ。さらにこれは続編5章で明らかにする住宅需給関係の社会化・多様化の要素も含んでおり, 総合的な意味解釈として「都市性」として理解できる。3)第2成分(変動性)は需要の変動性を説明し, 住宅需給関係における住みかえ移動の基盤を説明している。またこの成分は日常生活圏における地域間の(通勤などの)流動性をも説明している。4)第3成分(中心性)は都市の政治・経済的機能の中心性・日常生活圏における通勤流動にみられる中心性を意味し, 住宅需要発生の経済・社会的な背景と需給関係の地域構造的な側面の背景を説明している。5)従って, 都市性(FS1)と中心性(FS3)を主象軸に都市を基本的に分類し, 変動性(FS2)を説明変数として加味する前編3-3項の基本類型は, 住宅事情の都市類型を明らかにする上で意味をもとう。続編において, 住宅需給関係および居住水準の面からこの都市類型別の特徴をさらに明らかにしよう。
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© 1978 一般社団法人日本建築学会
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