日本建築学会論文報告集
Online ISSN : 2433-0027
Print ISSN : 0387-1185
ISSN-L : 0387-1185
冬期における外周壁体内の温湿度調査
小松 幸夫加藤 裕久
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 281 巻 p. 101-107

詳細
抄録
現在のプレファブ住宅に一般的な, 軽量形鋼を壁体内に密閉した状態で骨組として使用する構法は, 壁体内部の外気に対する密閉性の故に降雨等の影響が少なく, 鉄骨の発錆に対しては安全であると考えられてきた。今回の調査結果からは, 従来の考え方を裏付ける面も一部に見られたが, 一方では浴室部分などでは何らかの原因によって壁体内に湿気が侵入すると, 逆に高湿状態が維持されることになり, 同時に結露の可能性も高くなるために材料の劣化が促進される危険性もあることが確認された。浴室部分と一般部分の比較においては, 浴室部分の相対湿度が高くなる傾向が見られ, 先に行った解体調査において浴室などの水まわり部分の軽量形鋼の発錆が激しいということが見られた点と合わせると, 興味のある結果といえよう。今回の研究にあたり, 内田祥哉東京大学教授ならびに宇野英隆千葉工業大学教授の御指導を得, 特に宇野英隆博士には実際の調査にあたり色々と御骨折りを頂いた。調査活動においては, プレハブ建築協会鉄鋼部会および遠藤佳宏氏をはじめとする千葉工業大学宇野研究室の方々の御協力を頂いた。また, 絶対湿度の計算方法については斎藤平蔵東京大学教授の御教示を得た。ここに記してこれらの方々に深く謝意を表する次第である。
著者関連情報
© 1979 一般社団法人日本建築学会
前の記事 次の記事
feedback
Top