日本建築学会論文報告集
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区画燃焼における非線型特性
長谷見 雄二徳永 太造
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1983 年 332 巻 p. 145-150

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抄録
本論文では, メタノールを燃料とする区画燃焼の模型実験で, 次のことを明らかにした。1) 区画燃焼の定常燃焼期の燃焼速度ど開口因子の関係には不連続性が存在し, 不連続点より開口因子が小さい領域では換気支配型燃焼性状を示し, 開口因子が大きい領域の定常燃焼期燃焼性状は燃料支配型となること(Fig.5)。2) フラッシュオーバーは上記の換気支配型の定常燃焼期を生ずる領域に特徴的な現象であること。すなわち, 燃焼速度の不連続点は, フラッシュオーバーの発生限界に対応すること。3) フラッシュオーバー発生の有無を定める換気条件としては, 区画内の燃料の熱分解条件に対して乱流拡散火炎を区画内で形成させるに足る新鮮空気が供給され得るかどうかが重要な基準となること。乱流拡散火炎の空気過剰率3〜4に対して, 本実験におけるフラッシュオーバー発生の有無の臨界空気過剰率はほぼ4と推定される。4) 本実験で扱った区画燃焼では, 燃焼速度と開口因子の間にヒステリシス特性が存在すること。従って, 燃焼速度が多価となる開口因子の条件が存在して, 上に指摘した燃焼速度の不連続点の存在は, この非線型特性に由来すると考えられること。
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© 1983 一般社団法人日本建築学会
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