1983 年 334 巻 p. 29-36
外ダイアフラム形式で補剛された柱・はり接合部をもつ鋼管柱ラーメンの水平剛性に与える仕口の局部変形の影響を調べる目的で, 仕口の変形を考慮したたわみ角式を誘導し, 3種類の骨組について弾性解析例を示した。解析の結果 1) 仕口の局部変形が骨組の水平剛性に与える影響は層数とスパン数によって変化し, 骨組頂部の水平変位に対しては, 層数あるいはスパン数が増すとその影響量は大となる。2) 各層の水平剛性に与える仕口の変形の効果は上下の層の影響を受ける。とくに, 最下層では通常の線材理論による値の方が剛性を過小評価することになる。3) 本解析例では, 鋼管柱の局部変形により層水剛性は最大で5%低下する等が知られた。今後, 本論で述べた解析手法を断塑性問題に適用し, その非線型挙動を追跡し, 弾塑性域における柱・はり仕口変形の全体変形への寄与を明らかにしていく。