日本建築学会論文報告集
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4025 団地の立地と通勤圏(都市計画・経済・防災)
井上 良蔵
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1958 年 60.2 巻 p. 449-452

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抄録

1.同一郊外電鉄沿線にある団地は、ほぼ等しい通勤圏を持ち、又電鉄線が異つてもターミナルの位置が接近しておれば、大阪市内での通勤圏はほとんど等しくなる。即ち、通勤圏は、電鉄のターミナルの位置及びターミナルからの交通施設によつて一定の地域に限定される。2.団地からターミナル迄の所要時間が多い団地程、東区、北区等の交通の便利な所えの集中度が大きく、通勤圏が狭くなつており、ターミナルまでの所要時間の少い団地では通勤圏が広くなつているが、いずれも団地からの所要時間約1時間以内の所に通勤圏が治つている。3.公団郊外団地からの通勤者の82%以上は、大阪市内え通勤しており、東区、北区、等の業務地区えの集中傾向が大であり、一般事務及び販売員の両区えの集中度は特に著るしい。4.ホワイト、カラーは、多少通勤時間を犠牲にしても環境の良い郊外に住居を求める傾向が強く、その中核をなす一般事務及び販売員に特にその傾向が著るしい。管理職にある者は通勤距離の短い団地の選択傾向が強い。筋肉労働者の通勤距離は、一般に短いといわ上れているが、公団入居可能な程度の比較的高収入の筋肉労働者についても同様の事が言える。

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© 1958 一般社団法人日本建築学会
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