抄録
三菱・新大手町ビル建築にともない隣接のニユーヨーク・ナショナル・シテイ・バンクの取りこわしが行われたので、各部の中性化深さならびにコンクリートの組成・強度を調査した。この建物は大正10年に竣工したものであるが、維持・保守が十分に行われていたため、全体として老朽現象が見られず、きわめて良好な状態であった。これは仕上げが十分に厚く塗られており、また鉄筋のかぶり厚さが大きくとられていたため、中性化深さが相当大きい部分でも鉄筋面まで達していないからである。なお、中性化が鉄筋面にまで達している場合はいずれも錆が発生していのが観察された。