日本下肢救済・足病学会誌
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特集:重症虚血肢に対する血管内治療
組織欠損を有する重症虚血肢患者に対するPlanned Endovascular Therapyの有用性
福永 匡史川﨑 大三
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2018 年 10 巻 3 号 p. 126-130

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抄録

重症虚血肢患者に対する創傷治療において,完全治癒を得るまでには長期間必要になり複数回のカテーテル治療が必要になる.創傷治癒を得るために早期に再血行再建術を繰り返すPlaned-endovascular-therapy(Planed-EVT)が創傷治癒期間を短縮すると考え検討を行った.2013年1月から2015年12月までに下肢動脈に対して2回以上の血管内治療を必要とした組織欠損を有する52肢(従来治療群)と,2016年1月から2016年10月までに同様に治療された37肢(Planed-EVT群)を本研究に登録した.従来治療群は皮膚還流圧の低下,創傷治癒遅延を認めた際に再血行再建術を行い,Planed-EVT群は2ヵ月ごとに傷が治癒するまで再血行再建術を行った.両群における創傷治癒率および治癒期間を評価した.両群の総血管内治療回数差は認めなかった.創傷治癒率も両群間に差は認めなかったが(従来群vs Planed-EVT群;71.2%versus 73.0%,p=1.0),創傷治癒期間はPlaned-EVT群において有意に短くなった(95日versus 143日,p=0.025).Planed-EVTは創傷治癒期間を短縮できる効果的な治療と考える.

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© 2018 日本下肢救済・足病学会
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