日本建築学会論文報告集
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1022 コンクリートの長時間混練と早期亀裂の関係(材料・施工)
近藤 芳美丸一 俊雄
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1960 年 66.1 巻 p. 85-88

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抄録
以上の実験から次の事が要約される。a)混練時間の増加と共に、モルタル初期収縮度は増大する。b)拘束亀裂試験による亀裂は、成形後1週において混練時間3〜40分の場合発生せず、混練時間60分の場合に発生した。c)混練時間の増加と共に、セメントの初期凝結速度曲線は変化し、その粘度を低下させて行く傾向をとる。d)混練時間によるセメントの強度影響は、60分まではほとんど無く、フロー値は直線状に低下する。e)混練時間の増加によるモルタル初期収縮度の増大、および初期凝結速度曲線の変化の関係は、早期亀裂発生の場合のセメント初期凝結速度曲線の正常凝結性と異常凝結性との関係に類似する。f)以上の実験結果から、長時間混練によるコンクリートの早期亀裂の発生原因は次の通りであることが考察される。(i)長時間混練による初期収縮度の増大。(ii)長時間混練のための初期凝結性状の変化によるプラスチシティの低下、従つて収縮亀裂の回復性の喪失。
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© 1960 一般社団法人日本建築学会
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