日本建築学会論文報告集
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1039 高熱を受けた鉄筋コンクリート梁の強度の低減に関する実験的研究 : 第3報 引張側から急熱さんた場合(材料・施工)
原田 有
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1960 年 66.1 巻 p. 149-152

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抄録
この研究は、既報の高熱を受けた鉄筋コンクリート梁の耐力の低減に関する一連の研究につづくものである。即ち一般に鉄筋コンクリートの梁を圧縮側から、或は引張側から急熱する時は、その断面の内部で加熱温度の分布曲線は非加熱の側に向つて急激に減少して、二次曲線的な分布曲線を画く。単純梁の両端で主筋の碇着部分を温度上昇から保護しながら急熱し、一旦冷却した梁の終局強度、荷重撓み曲線の変化、並びに断面の歪み曲線の性質の変化等をたしかめると第1表のような関係がある。著者は既報の実験結果等を綜合して、圧縮側から急熱きれた梁や、引張側から急熱きれた梁について、終局強度の算定方法、断面の応力と弯曲率の関係の求め方等を提案したが、今回はこれ等の提案をたしかめるため特に主筋側(引張側)から急熱されて、主筋位置で200℃,300℃(第2図)に成る様な断面の内部最高経歴温度分布曲線を採る梁について、載荷試験を行つた(写真-1及び2)。その結果 第1表 急熱された鉄筋コンクリートの耐力[table](A)主筋面200℃の梁では終局強度P_Yは非加熱梁よりも5%ほど低下し、終局撓みδ_Yは非加熱梁と変わらない。その撓み曲線は初期の低荷重時に於ける引張側コンクリートの抵抗を欠ぎ、即ち亀裂モーメントM°の屈曲を欠ぎ、撓み曲線は初めから直線的に発達して、そのP〜δ曲線は直線と見做し得る(第3図)。(B)主筋面300℃の梁でも終局強度は同じく非加熱梁の95%内外であり、終局撓みも亦非加熱梁と殆んど一致する。撓み曲線も同様に亀裂モーメントM°の屈曲を欠ぎ、P〜δ曲線は直線的に発達し、200℃曲線と殆んど一致する。
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© 1960 一般社団法人日本建築学会
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