農業情報研究
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原著論文
産地と市場の連携によるトレーサビリティモデル
-青果ネットカタログをベースにした農業生産法人と卸売会社のトレーサビリティへの取り組み-
佐々木 茂明
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2004 年 13 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

ウンシュウミカンのトレーサビリティを確保するため農業生産法人のWebと卸売会社のWebをリンクさせ,新たな生産方式で栽培した商品の生産工程や流通経路を公開することとした.栽培履歴の詳細には農業日誌V6(ソリマチ株式会社)などの既存のものを使用し,それらの組み合わせによるトレーサビリティ確保システムを開発した.そのため,生産情報,出荷情報などの詳細は農業生産法人のWebに入力し,卸売会社のWebには市場から先の流通を公開することとし,それぞれの公開情報は商品に添付したカタログ番号で管理した.また,ウンシュウミカンは従来の10kg入りダンボールではトレーサビリティの確保が困難なため,消費者に商品が届くまでカタログ番号を維持できる新たなパッケージを開発した.仲卸会社や一般小売店は顧客に情報公開するシステムを有していない現状から,生産履歴情報表示用POPは卸売会社が作成して店内で消費者が閲覧できるように配布した.これらの取り組みにより,農場から食卓までのトレーサビリティを低コストで確保することができた.

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© 2004 農業情報学会
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