農業情報研究
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13 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著論文
  • 大角 雅晴, 中村 喜彰, 皆巳 幸也, 桶 敏
    2004 年 13 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    石川県松任地域では,コシヒカリの穂肥施用時期として出穂期の18日前が推奨されている.そこで,農家が湛水土壌中直播された水稲群落の穂肥施用時期を簡易に決定できるように,出穂期の簡易推定方法を検討した.これは,播種後毎日の日最高気温と日最低気温から算出する積算有効温度が,指標値を超える日を出穂期とする方法である.毎日の有効温度の計算式は次の通りである.
    有効温度=(日最高気温+日最低気温)/2-10[℃]
    石川県農業短期大学附属実験農場において1998年から2000年の間,出穂期推定の指標となる積算有効温度を調査した.その結果,栽培品種がコシヒカリの場合,出穂期推定の指標となる積算有効温度の平均値は1263℃,その標準偏差は14.9℃であった.2001年から2003年の間,この積算有効温度を指標にしてコシヒカリの出穂期の推定実験を行った.推定出穂期は2001年と2003年においては実際より1日遅かった.2002年は5日遅かった.その原因は,推定実施日以降の気温推移が1ヵ月予報と異なっていたためであった.施肥日を決める際には,穂肥施用日の目標を変更するなどの運用上の工夫が必要と考えられた.
  • -青果ネットカタログをベースにした農業生産法人と卸売会社のトレーサビリティへの取り組み-
    佐々木 茂明
    2004 年 13 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    ウンシュウミカンのトレーサビリティを確保するため農業生産法人のWebと卸売会社のWebをリンクさせ,新たな生産方式で栽培した商品の生産工程や流通経路を公開することとした.栽培履歴の詳細には農業日誌V6(ソリマチ株式会社)などの既存のものを使用し,それらの組み合わせによるトレーサビリティ確保システムを開発した.そのため,生産情報,出荷情報などの詳細は農業生産法人のWebに入力し,卸売会社のWebには市場から先の流通を公開することとし,それぞれの公開情報は商品に添付したカタログ番号で管理した.また,ウンシュウミカンは従来の10kg入りダンボールではトレーサビリティの確保が困難なため,消費者に商品が届くまでカタログ番号を維持できる新たなパッケージを開発した.仲卸会社や一般小売店は顧客に情報公開するシステムを有していない現状から,生産履歴情報表示用POPは卸売会社が作成して店内で消費者が閲覧できるように配布した.これらの取り組みにより,農場から食卓までのトレーサビリティを低コストで確保することができた.
  • 法隆 大輔, 深津 時広, 大塚 彰, 木浦 卓治, 平藤 雅之, 二宮 正士
    2004 年 13 巻 2 号 p. 127-137
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    農業用語辞書を組み込むことにより,農業関連文書向けに形態素解析の機能を提供するサーバを開発した.このサーバを利用することにより,農業関連の専門用語を多く含む文書を取り扱う場合に,専門用語を単語として抽出できる.サーバの機能はJavaRMIによって提供されており,本サーバを利用するためのプログラムを作成する際は,プログラム中に本サーバのリモートオブジェクトを組み込み,インターネットを経由してこのサーバに接続する.利用者は自然言語処理を行うプログラムの一部として,本サーバを組み込むことができる.本サーバの効果を検証するため,農業技術関連の文書を使用して,テキストの自動分類を行った.その結果,本サーバを利用することにより,分類の正解率が向上し,その効果が確かめられた.
  • 合崎 英男, 佐藤 和夫, 岩本 博幸
    2004 年 13 巻 2 号 p. 139-153
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,受精卵クローン牛由来生産物の社会的受容に対する消費者の知識と態度の影響を分析することである.北海道札幌市清田区の居住者171名から得たデータを利用して,潜在変数である知識と態度との関連を構造方程式モデリング,態度と牛肉の評価との関連を仮想順位付け法により分析した結果,次のことが明らかとなった.1) 受精卵クローン技術に対する態度である「安全性不安」,「倫理的評価」,「直接的利益」が受精卵クローン牛由来生産物の評価に影響を与えることが明らかとなった.2) しかし,技術に関する知識は態度の形成にはほとんど寄与していないことが示された.3) 以上から,技術的知識のみを提供するだけでは受精卵クローン牛由来生産物の社会的受容を向上させることは困難なことが示唆された.
  • 大塚 彰, Matthew R. Laurenson, 草場 敬
    2004 年 13 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    MetBrokerの仲介技術を応用して,農業のモデルに様々な土壌データベースへの統一されたアクセスを提供するソフトウエア「ソイルブローカ」を開発した.ソイルブローカはミドルウエアで応用ソフトウエアとデータベースとの間で動作し,土壌データベース間のデータ表現や検索方法の違いを隠す.ソイルブローカの特徴は他にも2種類のデータアクセス方法の提供,メタデータを取り扱うこと,そしてJavaBeansのソフトウエア部品を提供することなどがある.全部で19個の土壌要素が実装されている.本研究はインターネット上で土壌データを利用する新しい方法を提供する.
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