2016 年 25 巻 1 号 p. 19-28
本研究ではArduinoを利用して構築したUECS(ユビキタス環境制御システム)ノードにおけるUDPパケットの受信処理能力について調査を行った.調査の結果,実験で使用したATmega系16 MHzのCPUで動作する機種間に性能差はなく,搭載するEthernetコントローラーICがパケット処理能力を決定していた.約200 byteのUDPパケットを与え,全てのCPUリソースをパケット受信に費やす場合,W5100,W5500搭載機でそれぞれ最大327,576 packets/secの受信が可能だった.HTTPサーバーの応答,SHT75温湿度センサとの通信などを同時に行うと,パケット処理能力は低下したが,即応性の要求されるノードにCPUの拘束時間が長い処理を実装しなければ,中小規模温室で使用するには十分な処理能力があり,パケットの到達範囲を限定すれば大規模温室でも利用できると考えられた.また,未利用ポートにパケットを送信してもパケット処理能力は影響を受けず,利用ポートの棲み分けにより,さらに多くのノードが1つのLANを共有できる可能性が示された.