農業情報研究
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原著論文
千葉県における気象データとクラウドサービスを利用した水稲生育予測システム「でるた」の構築
青木 優作望月 篤鶴岡 康夫
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2023 年 32 巻 2 号 p. 38-45

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抄録

水稲を主とする経営体が栽培管理作業を適切に行うには,生育予測に係わる情報の取得と活用が必要である.しかし,気候変動や水稲経営体の規模拡大に伴い,従来の方法では各圃場の生育把握が困難となっている.そこで,千葉県で栽培される主要品種について,水稲出穂期予測モデルと地域毎のアメダスデータを用いた出穂期予測と,そこから求められる水稲の生育ステージ及び作業適期を算出する仕組みをクラウド上に構築した.併せて,その情報をスマートフォン等で閲覧可能とするインターフェースを策定し,これらを水稲生育予測システム「でるた」とした.千葉県内の15圃場において出穂期の実測調査を行ったところ,数値予測のモデルの良さを測る指標の1つである二乗平均平方根誤差(RMSE)は2.99日であり,出穂期予測モデルの誤差範囲の目標値である±3日の範囲内は86.7%であった.以上のことから,ICTとその基盤を利用し情報の生成と伝達をする仕組みが簡潔に構築できることを明らかにした.今後,公設試験研究機関の成果である作物や病害虫発生の予測モデルをICTとその基盤を用いて栽培支援システムとして構築する場合,「でるた」は一つのコンセプトになる.

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