抄録
本稿では,日本語質問表現における初中級学習者向けの教師の発話調整を考察する。本学の教育実習を通して,学習者のレベルに応じた発話調整を課題に感じた。その中から質問文と疑問文の発話を取り出して,難易度と曖昧さの観点から学習者の6つの反応に応じた発話調整と考察を行う。それぞれの反応は,問答,返答,頷き,誤答,混乱,無反応に分類した。発話調整に際しては,基本文型と応用理論による客観性と自然さの確保を心掛けた。理論と実践の観点から各反応に応じた自身の反応や対応を振り返り,今後現場で出会う質問表現の発話調整のための道しるべとしたい。