抄録
本稿は,国際教養大学専門職大学院日本語実践領域において実施された日本語教育実習内での筆者の指示出しと自作視覚教材の有効的な使用について検証したアクションリサーチである。2023年の秋に行われた実習では,初級日本語学習者を対象に基本練習と応用練習を行ったが活動の指示をした際に,筆者の意図が伝わっておらず,学習者が円滑に練習の活動に入ることができなかった。その要因として,筆者の指示が曖昧であること,活動に必要な情報や手順が説明されていないこと,視覚教材を活用できていないことが分析の結果から明らかになった。これらの問題点を踏まえ本稿では,筆者の指示出しや自作視覚教材の傾向を考察し,視覚教材を有効的に活用しながら初級日本語学習者にも理解可能な指示出しをするための改善案を示す。