抄録
本稿は,国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科での3期にわたる日本語教育実習の振り返りにもとづくアクション・リサーチ報告である。筆者は,秋実習で学習者の発話に十分に反応できていないことを課題と感じ,冬実習および春実習では意識的にポジティブフィードバックを行った。その結果,春実習の終了時に実施したアンケートで学習者から,自信がついたとか、安心感と信頼感があったとの評価を得ることができた。これらの結果を踏まえて,筆者はどのようなポジティブフィードバックを行っていたのか,その中で不十分であった点や今後改善が必要な点について検証を行った。その結果,褒めている内容が具体的でなかったことや,学習者の努力に注意が向いていなかったことなどが明らかになった。本稿では,これらの課題に対する改善案を提案し,学習者の動機付けを高めるための適切な教師のポジティブフィードバックについて論述する。