抄録
本稿は、内容言語統合型授業において話し合いを目標言語で行うための改善を考察するものである。筆者は冬の教育実習で秋田を事例に日本の文化が抱える問題について扱った内容言語統合型授業を行ったが、学習者が話し合う活動で目標言語を使用しない時があった。そこで、そのコースをCLILとして俯瞰的に分析した結果、話し合うための言語知識のインプットと話し合いへの足場づくりが欠けていたことが明らかとなった。それを踏まえ、次に話し合い活動において適切な助けをしていたかを授業構成と教師の議論への介入の両面から検証した。結果、授業構成においては目標言語で話し合うための語彙・文法のインプット不足や学習者自身が自らの言語活動を振り返る時間を持っていなかったことを再認識した。また、筆者自身の具体的な話し合いへの介入に関しては、学習者の理解を促す助けや批判的な意見で話し合いを促進するための介入が不足していたことが明らかとなった。本稿の検証を通し、学習者に目標言語でよりよい話し合いをさせるための改善策を見出せた。