抄録
本稿は,日本語教師として成長するために授業の振り返りを効果的に行うにはどうしたらいいのかを,筆者が教育実習授業中に行った振り返りの分析を通して検討するものである。筆者は先行研究から新人教師の特徴の中で共感したものと対比する熟練教師の特徴に自身の成長のヒントがあるのではと考えた。そして「学ぶ側の視点」と「教室活動における問題点の理解」が自身に必要な要素ではないかと仮定し,実習中どのような視点で振り返りを行っていたか,またどのような問題点を指摘していたのかを分析,考察した。本稿の執筆を通し,熟練教師の持つ特徴や教員らの意見といった他者の視点を取り入れることで自分自身についての理解が深まった。同時に,そのような客観的視点を意識することで振り返りを自身の成長につなげることが出来ると考えるに至った。