抄録
本論文は、ソ連-イスラエル関係を、歴史的アプローチより論ずるものである。ソ連-イスラエル関係のそもそもの源は、テオドル・ヘルツルがロシア帝国の諸機関と接触を計ろうとしたことにあることを検証する。イスラエル建国のためにソ連が支援した初期の時期から、まもなく両者の関係に大きな変化が起こった。本論文の理論的探求の目的は、世界の超大国としてのソ連と、中東地域の大国としてのイスラエルとの特殊なつながりの論理を正確に説明できる分析の枠組みは何かということを見いだすことにある。このソ連-イスラエル間の場合、その関係の特殊性は、いわゆる「ユダヤ問題」がその主たる要因となっている。