抄録
火山泥流堆積後の堆積面における土砂の二次移動·堆積の実態を把握することは, 火山活動が平野部の地形発達に与える影響を評価するために必要であるという見地から, 火山泥流が地形面をなす前橋·高崎地域における泥流堆積後の微地形分布·形成様式を考察した. 微地形分布·構成層から, 約2.4万年前の前橋泥流堆積物のみからなる地域では堆積性, 約1.1万年前の井野川泥流堆積物が累重する地域では侵食性の微地形形成作用が, それぞれ推測される. また, 以上のような形成作用の差異は, 両地域におけるイベント堆積物の層厚に有意な差が生じたためと考えられ, これは井野川泥流堆積物の有無に起因すると思われる.