抄録
浅間火山鬼押出し溶岩流は、従来、プリニー式噴火の最終段階で火口より静かに流れ出したと考えられ、安山岩質溶岩流に典型的な塊状溶岩であるとされてきた。しかし、溶岩流の構造を詳細に調べたところ、表層部分はすべて溶結した火砕物であることが明らかになった。従って、鬼押出し溶岩流は、プリニー式噴火の最盛期に堆積した火砕物が二次流動したものであると考えられる。このことは、従来、降下軽石→火砕流→溶岩流へと移行するとされてきた、酸性マグマの噴火の推移を再検討し、そのメカニズムを解明する上で非常に重要である。また、安山岩質溶岩流の地形的特徴を再点検し、噴火様式との関係を明らかにすることにより、溶岩流の地形から過去の噴火を推測しうる可能性を示唆している。