抄録
最近「循環型社会」という用語が、政府·マスコミを中心に用いられるようになっている。廃棄物問題が社会的に深刻化する中で、政策的にいかにこの問題と対峙していくべきか、あるべき方向性を示した政府のスローガンの1つであると思われる。ところで経済地理学の立場からみると、いわゆる物質「循環」の空間的スケールとして、どの程度の大きさのものが想定されているのか、という分析視角に行き着く。これまで廃棄物行政は、基本的には地方自治体の管轄であった。しかし、中間処理施設や最終処分場の立地難という政策課題は、行政に重い負担となってきた。このような社会背景の下、少しでも低コストでの処理·リサイクルを求めて、廃棄物·副産物の広域移動が、県境を越えて、場合によっては国境を越えて一層顕著に観察されるようになった。その具体的な様相とそれを成立させるメカニズムの解明が、経済地理学の大きな課題として存在する。