抄録
長良川河口堰は1995年から本格運用が開始されたが、現在に至るまで開発水の使用見通しがほとんど立っていない。河口堰事業に反対する住民は愛知県、三重県知事を相手に、一般会計から工業用水道特別会計への支出は違法であるとする支出差止訴訟を名古屋地裁、津地裁に提訴した。しかし、津地裁は門前払い、名古屋地裁は支出の妥当性を認める判決を下したため、原告は名古屋高裁に控訴、さらに、最高裁に上告している。裁判を通じて、これまで長良川河口堰事業の抱える問題点は、何一つ明らかになっていない。法廷の場で被告、原告が自らの正当性を主張する場は一度も設定されず、裁判官は法定の場での審理を避けている。発表ではこうした問題における、科学性、客観性の捉え方、研究者の関わり方について報告する。