日本地理学会発表要旨集
2003年度日本地理学会秋季学術大会
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住宅団地における人口高齢化の空間的組織
岡山市とその周辺地域を事例として
*森 泰三
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p. 103

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抄録
はじめに 住宅団地においては,形成時に30代・40代の親の世代とその子どもの世代が入居し,年齢別人口構成ではその2つの世代が特化している.そして,入居時の世代が加齢した結果,親の世代は高齢人口の仲間入りをして,こどもの世代が進学・就職・結婚などで他の地域に転出すると,その地域ではスピードとボリュームの激しい人口高齢化の進展がみられる.千里ニュータウンをはじめとする大都市圏の大規模住宅団地において,人口高齢化とそれに関する課題について,様々な分野から研究がなされてきた.地方中心都市においても,人口集中によりそれらの住宅確保のための住宅団地が多く建設され,都市域に点在している.それらは,立地,開発主体,開発時期,住宅の所有・建て方,および,人口高齢化の進展や課題について様々である.これらの住宅団地を比較分析することにより問題点を見いだすことができる.また,比較的小規模な開発が多く,公共交通機関や社会資本整備などが十分とはいえない場合が多く,将来住民に与える影響などを研究していく必要がある.研究の目的と方法 研究の目的は,地方中心都市における住宅団地の形成から成熟までの実態や人口高齢化の問題を析出し,まちづくりについて考えることである. 研究対象地域は,岡山都市圏の岡山市・倉敷市・山陽町の2市1町における14の住宅団地・47の町丁である. 研究の方法については,国勢調査の町丁別年齢別統計を用いて,各住宅団地・47町丁の5歳階級別人口構成についてクラスター分析を行い,特化したコーホートに関して分類し,各団地の人口高齢化に関する進展を考察する.次に,各団地の都市域における立地,人口動態,居住に関する属性,社会資本の整備などから問題点を析出し,町づくりについて提言する.年齢別人口構成と住宅団地の分類 クラスター分析の結果,特化したコーホートのある地域や特化したコーホートのない地域など7つのグループに分類することができた. 最も人口高齢化が進展したグループは比較的早く1970年代なかばに開発された,岡山市街地に近い八幡東町,さくら住座の2町丁で構成されており,60歳代が特化して多い.一方,最も人口高齢化が進展していないグループには1990年代後半に開発された津高台など,最近の入居者が多い13町丁で構成されており,30歳代の親の層と14歳以下の子どもの層が特化している.その他の各グループでも各世代で特化したコーホートをみることができる.また,わずかに50歳代が多いものの,特化したコーホートを見いだせないグループが1つあった.これには中庄団地など8町丁が含まれており,公営公団住宅や給与住宅などで借家が多くを占めており,入居者の転出入が比較的頻繁に行われるからである. 人口高齢化の課題 人口高齢化は早くから開発の進んだ市街地に近い団地から進展しており,1995_から_2000年の人口減少率は,八幡東町では9.8%,さくら住座では14.4%であり,壮青年層の流出と高齢層の残留・加齢が要因となっている.これらの地域では市街地に近く,利便性もよく,人口高齢化が進展しても,居住者の生活に大きな支障ないと考えられる. むしろ,大きな問題は市街地から離れた位置にある住宅団地にある.山陽町の山陽団地やネオポリス(桜が丘西)は,市街地から20km程度の距離があり,市街地とのアクセスも道路交通に頼っている.公共交通のバスは便数が多く,住宅団地内にも乗り入れており,利便性は高い.しかし,居住者は,自家用車に頼る部分が多く,どちらの住宅団地も丘陵地を造成して開発しており,将来,人口高齢化が進展した場合に,居住者に市街地とのアクセスや坂が多い地形など不便な面が発生してくることが考えられる. 山陽町は,2000年の人口高齢率が,17.5%であり,岡山市,倉敷市とならんで岡山県内78市町村の中でも最も低い.しかし,約24,000人の中で山陽団地とネオポリスの居住者約64%を占めており,将来,山陽町全体が急激な人口高齢化を向かえる.自治体としてもこれへの対応が急がれる. バブル経済崩壊後,都市郊外への住宅の供給が鈍化して,都市化の拡大が落ち着いた.その結果,都市郊外の住宅団地およびその周辺では,今までのように資本が投入されなくなり,人口高齢化に対応した社会資本整備の必要性がさらに高まっている.
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© 2003 公益社団法人 日本地理学会
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