日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会秋季学術大会
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静岡県,日本平南側斜面における2004.6.30集中豪雨により発生した崩壊の分布と発生形態の特徴(速報)
*栗下 勝臣, 目代 邦康
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p. 101

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抄録
_I_.はじめに2004年6月30日,静岡市南部を中心として観測史上最大の日雨量の記録となる集中豪雨が発生し,それにともない特に日本平の南側斜面での崩壊が多発した.長期的な地形変化を考えるためには,このような短期的な地形変化に関するデータの蓄積が必要である.本研究では,数年_から_数10年スケールで起こる流域プロセスが日本平南側斜面の地形変化に及ぼす影響を明らかにする目的で,この集中豪雨により発生した崩壊の状況について調査を行った.この調査は,比較的短い時間での河川流域の地形変化を研究するための一資料となりうる.以下にその結果を報告する._II_.調査地域概要 第四系の礫質デルタ_から_扇状地性の堆積岩からなる日本平(有度山:307.2m)は,静岡県静岡市の南東部にある,半ドーム状を呈した面積22.8km2の山塊である.年降水量は,東海地方の平均より500mmほど多い2,300~2,350mm(静岡・清水)である. 本報告で対象とした南側斜面は,北側斜面との分水界がほぼ直線的に区切られ,半ドームの形に即した三角形を呈している.南側斜面のふもとには縄文海進時に形成された海食崖が残存し,特に東端と西端は海食崖の侵食が進んでいない.また,南側斜面には海食崖を刻む13の明瞭な流域が存在する.西側10河川は,河床幅が狭く下刻が進んでいるのに対し,東側3河川は河床幅が広く下刻があまり進んでいないという差異がある._III_.2004.6.30集中豪雨の特性と土砂災害 小笠原諸島・父島の南約600kmの海上にあった台風8号の影響により,静岡付近を中心に南から暖気が押し寄せた.そのため,天気図では表現されない局地的な前線が形成された.静岡付近にはもともと寒気が残っていたこともあり,静岡市南部を中心とした局地的集中豪雨が発生した.豪雨は,6月30日午前2時から降り始め,午前6時には累積雨量が100mmに達した.午前9時には81.5mm/hを記録し,午前10時には累積雨量が300mmに達した(図).なお,現地の聞き取りから,斜面の崩壊は6月30日の午前10時頃に多発した.斜面の崩壊により,石垣イチゴの石垣が崩れる,またはイチゴ畑に土砂が流入するなどの被害を受けた.また,一部の地域では家屋にも土砂が流入したが,人的な被害はなかった._V_.崩壊の発生形態 崩壊の発生形態は,泥質な基盤岩の表層部が崩壊したタイプ(_I_),基盤が礫岩泥質岩互層からなり泥質岩とその上位に載る礫岩との境界から表層が崩壊したタイプ(_II_)の2タイプに大別された(表)._IV_.崩壊の分布 崩壊箇所は12ヶ所で確認された.内訳は,南側斜面のほぼ中央を南流する柳沢川を介して地域を2分すると,西側で9ヶ所,東側で3ヶ所となった.また,日本平南側斜面の西側から東側に向かって地質は泥質な基盤から礫勝ちとなり,それに対応して上記発生形態は西から東に向かってタイプ(_I_)からタイプ(_II_)へと変化した. 鉛直方向での崩壊発生箇所は,旧海食崖斜面の遷急線付近と旧海食崖斜面の脚にあたる遷緩線付近の2ヶ所に大別された(表).以上の結果から,今回の豪雨による崩壊の発生場は日本平において一様ではなく,地質状況に規制されていることが分かった.
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