抄録
はじめに 1990年代以降急増したフリーターが社会問題化し,新規学卒者の非正規雇用の増加や早期離職傾向の高まりについて,多くの関心が向けられることとなった。しかし,このフリーターへの関心のほとんどは大都市圏やその郊外地域を対象にしたものであった。 地方圏出身若年者の就業行動については,高度経済成長期の集団就職などには関心が持たれてきたが,現代的な課題であるフリーターについては,ほとんど取り上げられていない。 そこで本研究では,近年,地方圏出身若年者が地元に留まる傾向が強まっていることに着目し,直接若年者を対象にしたインタビュー調査を行い,そこで語られた言葉を分析の対象として,彼らが自分の選択をどのように説明しているかを示し,その背景にある問題を明らかにする。