抄録
1.はじめに過疎化が続き、人口減少社会を迎える中で地方では交流人口拡大によって地域活性化を図る取り組みが盛んである。道の駅や農産物直売所は、農産物の流通体系変化、交通変革による都市農村交流の拡大等の要因から全国各地で進められており、近年は、行政や農協の関与や支援によって数が増加するとともに規模も拡大している。これらに関する研究は、とくに全国的な直売所ブームを受けて農業振興、農村振興策の例として多数紹介されている。本研究の目的は、愛媛県内の道の駅や直売所の基礎的資料の収集により、地域別・経営主体別の施設の特徴や地域へのインパクトについて明らかにすることである。2.調査方法 愛媛県内の道の駅および、冊子『えひめの農林水産物直売所』(愛媛県農政課発行)掲載の主な直売所にアンケート調査を実施し、集計・分析を行うとともに、関係自治体や施設へのヒアリング調査を行った。3.愛媛県の道の駅・直売所の現状愛媛県における道の駅・直売所の開設は1980年代後半以降、計画・開設が相次ぎ、とくに本四連絡橋「しまなみ海道」が開通した1999年には急増した。計画・整備・運営の特徴として、東予地域でJAや民間会社が関与した商業型の施設が多いのに対し、南予地域では行政主体による観光型の施設が多いことがいえる。ほとんどの施設で市町村財源等補助金の投入がみられ、運営のために3セク会社を設立するケースも多い。 施設の形態は農産物直売所、飲食施設を核に、公園や美術館、温泉等、主に観光関連のものからなっている。利用者数・売上とも愛媛県全体で増加傾向にあるが、東予地域はしまなみ海道沿線地域で橋の開通年度の反動が大きく、各施設の利用者数・売上高は減少傾向にある。南予地域では。施設の新設が相次ぎ、増加傾向が続いている。東予地域の都市周辺では日常的に地元住民が買い物に訪れる施設が多く、地元スーパー等との競合がみられる。南予地域は、地元以外の県内客の割合が高く、とくに松山市からの来訪者が多かった。利用交通手段は自家用車が中心である。また、利益を確保している施設が多いものの、その額は少なかった。一部の農産物直売所は松山市に直営のアンテナショップを出店したり、スーパーや生協と提携したインショップの展開等、販売チャンネルの拡大を行う事例がみられる。従業員は施設の新設が相次いだため、増加傾向にあるが、ほとんどが「パート・アルバイト」の職員である。性年齢別では、40歳代以上の女性の割合が高く、地元出身者の割合が90%以上ときわめて高く、地域に新たな雇用の場が創出されている。4.考察・今後の課題政策効果としては、_丸1_中山間地域の農家などに対し地域活性化のインセンティブを与えること_丸2_都市_-_農村連携を促進すること_丸3_雇用機会を創出することが認められる。しかし、物販以外の機能が弱く、施設間の格差がみられる。施設間の競合も激しくなっており、今後もその効果を維持し、持続的に発展するためには、経営の自立や運営方法の検討が必要である。また、地域資源の活用のための取り組みや、地域事情をふまえた新たな機能を考える必要もあろう。