抄録
最近各地で、まちづくりライブラリーが設立されているが、東京都新都市建設公社のまちづくりライブラリーは、ユニークな存在であり、東京の都市形成を研究する者にとって、有用な情報源と思われる。東京都新都市建設公社は、首都圏整備計画の市街地開発区域の開発・整備のために設立された財団法人で、東京都の八王子、町田、日野、青梅、福生、羽村各市の土地区画整理や下水道建設などを行い、更に多摩全域から東京都全域を対象区域として、都市整備を行ってきた。都市基盤の整備が進むとともに、住民主体のまちづくりの重要性がたかまり、それに対応して、「まちづくり支援センター」を新都市建設公社のなかに設置し、住民への情報提供の一端として、まちづくりライブラリーを開設した。元東京都首都整備局長山田正男氏や東京都の有志が収集した都市計画関係の図書、資料、計画図などを基礎に発足し、戦災復興から、オリンピック準備、その後の計画を網羅している。それらから、裏話を含めて、東京の都市整備の経緯を知ることができる。