日本地理学会発表要旨集
2006年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 107
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ランドサットデータによる斜面の地形区分の試み
*黒木 貴一磯 望後藤 健介
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抄録
福岡県太宰府市を中心とする約150km2を研究対象地域とし、LANDSAT/TMの差分データを利用し山地・丘陵地の斜面の地形区分を試みた。複数時期(2001年(4/19,5/13,9/18,10/20)と2002年(2/25))のLANDSAT/TMデータを使用した。各時期の反射率データは、4月の平均値との差分が0となる加減算を行なった。反射率差分はバンド(1,3,4,6)とndvi(植物活性度)の2月-10月(冬期)、4月-2月(春期)、5月-4月(初夏)、 9月-2月(夏冬)、10月-4月(秋春)に対して求めた。 ndvi差分の3D画像を観察すると、三郡山(標高30mから936m)で標高差によるndvi差分の相違が5月-4月と9月-2月などに認められる。斜面方位によるndvi差分の相違が明瞭で、時期により北向き斜面と南向き斜面の差分に相違が出る。また、時期により谷と尾根の差分にも相違が出る。地形とndvi差分に関して測線ごと見ると、標高の低い測線では4月-2月に「尾根で高く、谷で低い」。逆に標高の高い測線では4月-2月に「尾根で低く、谷で高い」。東西方向の尾根筋を切る測線では10月-4月に「日向斜面で高く、日影斜面で低い」。標高の高い測線では4月-2月、5月-4月、9月-2月に「標高500mを境にndvi差分の分布が変化する」。これより標高、ndvi値凹凸、ndvi値18以上未満によるndvi値区分を行なった。これらの解析にはArcView8.3と同9.1を使用した。標高、凹凸、傾斜方向による地形区分を実施し、ndvi値区分と比較した。ndvi値区分は平地の市街地を除くと、山地・丘陵地の地形区分と良く合った。つまりndviの時期間データを適宜用いて地形区分ができた。今後は、より詳細な人工衛星データと数値地形データを用いて、斜面崩壊予測のための斜面地形区分を試みたい。
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© 2006 公益社団法人 日本地理学会
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