抄録
本研究は、東京都足立区を研究地域として、測定レベルと集計方法の違いにより、利便性の水準がどのように異なるか、また、建物レベルからみた町丁目内における利便性の水準の内部変動を明らかにする。 利便性の測定レベルは、町丁目の中心点を代表点とする町丁目レベルと未集計な建物レベルである。各レベルにおいて、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、内科医院、小学校、駅、バス停、前面道路の幅員の7施設を指標として近接性を測定し、それらを総合して0から7得点を求め、利便性の水準とした。 未集計な建物レベルから町丁目レベルへの集計は、町丁目内で一番多くの構成割合を占める得点や、町丁目内の平均得点で行った。建物レベルからみた町丁目内における利便性の水準の内部変動を分析するため、町丁目ごとに平均と標準偏差を算出した。その結果、標準偏差が最小(0.449)の町丁目でも、1/4の建物が異なる総合得点をもっていた。また、標準偏差が1.5以上の非常に大きい町丁目では、0得点から6得点で変動しており、町丁目における利便性の水準は大きく異なっていることが明らかになった。