日本地理学会発表要旨集
2007年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S206
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外国人による日本観光
*フンク カロリン
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抄録

はじめに
 この発表では、日本を観光目的で訪れる外国人旅行者の行動パターン、目的地選択と日本のイメージについて分析する。現在、日本における国際観光は地域的に集中したパターンから多様化する傾向が見られる。そこで事例として瀬戸内海地域をとりあげ、その地域における国際観光の類型と、瀬戸内海の国際観光地域としての可能性と課題を検討する。瀬戸内海の景観は江戸時代から外国人旅行者に高く評価されたが、現在、国際観光地として定着していない。外国人旅行者で実施した6つのモニターツアーの結果を踏まえ、瀬戸内海のイメージ、観光やレクリエーションの場としての評価、または実際に旅行する際直面する障害を分析する。

1.外国人旅行者のイメージと動機
 外国人旅行者のイメージと動機は出発地により異なる。JNTOの調査(2005)によると、欧米からの訪日者は生活方式や歴史文化、アジアからの訪日者は都市と自然、韓国からの訪日者は温泉に関心を持つ。訪日前のイメージは、韓国人と欧米から訪れた人が日本の人について肯定的な印象を持っている。それ以外の項目は、韓国、台湾、中国と、欧米各国と、それぞれ共通点が目立つが、アジアから訪れる旅行者は都市の景観とサービスに、欧米からの旅行者は文化・歴史と食事について肯定的なイメージを持っている。出発地別の動機、目的地や日本のイメージが異なる状況を配慮し、この発表では中国地方に多い、欧米からの観光者に焦点を当てる。

2.外国人旅行者の目的地
 外国人旅行者の行動範囲についてデータが不足していることがよく指摘されている。平成18年度、宿泊旅行統計調査の予備調査が行われ、外国人についても宿泊場所の情報が得られた。また、JNTOの訪問地調査(2006)、各都道府県や地方でまとめられている観光動向に関する調査から、ある程度外国人旅行者の目的地を把握できる。そこで、目的地の選択に影響する要因を検討する。目的地にも出発地別の差が見られるが、中国・四国地方を訪れる人は全体的に少ない。

3.瀬戸内海における国際観光
 瀬戸内海の景観は外国人により初めて評価され、その価値が発見されたと言われる(前田1999)。外国人による評価は1711年の朝鮮通信使に始まるが、特に明治時代から訪れる欧米人には高い。しかし現在は姫路と広島以外に国際観光地として定着しているところが少なく、後者へは、歴史的関係から欧米からの訪問者が全国に比べて多い。また近年、朝鮮通信使に関心を持つ韓国人旅行者が増加している。
 個人旅行者向けの英文ガイドブックや、実際の外国人旅行者の流れから、現在、瀬戸内海の観光地を以下のように分類できる:
(1)現在はまだ外国人旅行者が少ないが、日本の歴史文化への関心に対応し、伝統的な町並が観光資源として評価されつつある港町。
(2)都市圏からのアクセス、低価額の宿泊施設、アウトドア活動の可能性、外国人向けの情報提供で日本在住の外国人を中心に人気が上昇している小規模なリゾート地。
(3)アート、建築、歴史的な特徴など、SITのニーズに答える観光地。
(4)世界遺産、または全国レベルで有名な観光資源を持ち、アクセスが便利な観光地。
 この発表では、以上の類型を基本に、外国人旅行者の具体的な評価を分析する。
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© 2007 公益社団法人 日本地理学会
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