アジア都市の多くはデルタに代表される低湿地に立地しており,農地および都市開発の双方に地形改変が必須である.人工地形改変の時空間変化を,土地利用と結びつけて検証していくことは,アジア都市縁辺部の土地利用計画を考える上で重要である.
Hara et al. (2005) は,バンコク郊外の土地利用混在地域において,農地の多様化および住宅地の拡大にともなって発生する地形改変量を推定した.本報告では,その後の追加調査の結果もふまえ,土建材フローによって連関する階層的な地形改変構造を,量的質的に検討する.
のべ半年程度の現地調査より,土建材フローの概要が明らかになってきた.ソースの掘削量は,砂材で5.5 × 107 m3 year-1程度と概算された.一方,住宅開発地の埋立土量は,5.7 × 103 m3 km-2 year-1前後と推定された.
土建材フローは,地質およびアクセス性に影響され,ノードとリンケージから成る.土建材販路のコントロールと土地利用計画を結びつけることは,土地私権の強いアジア都市縁辺部の都市農村計画に有効かもしれない.