今日の環境問題には様々なものがあり,地球温暖化やバイオ燃料の例にみられるように,環境問題はそれだけにとどまらず,国際問題や経済問題など他の諸問題の原因ともなっている.このように多様な環境問題が生じている現代社会では,「環境」という言葉が多く使われているが,「公害」という言葉はあまり使われなくなっている.しかしながら日本の代表的な公害の一つである水俣病については,2004年10月になってやっと,損害賠償請求訴訟として唯一継続していた水俣病関西訴訟について最高裁判所の判決が言い渡されていた.これらのことから「公害」は過去に既に終了したものではなく,現在まで継続しているものであるといえる. 本研究は以上で述べた視点から,日本の公害と環境問題との関連性,公害の変質について概観したうえで,報告者が学部学生を対象として実施した意識調査をもとに,未来世代の中心となる若年層のへの公害と環境問題からの学習の必要性について示すことを目的とする.