抄録
近年、日本の若者を担い手としたポップカルチャーが国内のみならず、欧米を中心とした海外で注目を集めている。それは特定の単語の使用や、具体的な商品に関連した行動などが挙げられる。特に90年代前半頃より、日本製のマンガやテレビアニメの海外での人気が、たびたび日本国内でも伝えられるようになった。マンガやテレビアニメの閲覧・鑑賞はもはや子ども時代に特有の行動もしくは特権ではない。
しかしながら、とりわけそれらへの過度な熱中があると見なされると、「おたく」という言葉とイメージが付与される。「おたく」が呼びかけの一つという本来の意味と使用法を持つと同時に、全く異なった意味を持つようになったが、それは80年代に遡る。一つの事件の報道をきっかけとして、本来的でない「おたく」の意味は広く認知された。それは、マス・メディアによる情報伝達が大きな影響を及ぼしていたことを意味する。このような流れのうえで、マス・メディアが「おたく」をどのようなイメージで伝えていったのかを考察することを本研究の目的とする。