抄録
人工衛星の波長帯別反射率データでは地形に関わる地表の植物、地質、水分などの分布を自動的に区分できる。そのため大倉ほか(1989)では、LANDSATの波長帯別反射率データのRGB画像を地表の土地利用あるいは水分条件に読み替え沖積平野を中心に地形区分を実施したが、斜面に関する同様の試みは見られない。また小川ほか(2006)では2時期のデータ差分から1時期のデータよりも詳細な土地被覆区分を実施した。斜面地形と植生は関連深いため、黒木ほか(2007)で雲仙を対象にLANDSATのデータ差分のオーバーレイによる土地被覆区分法を試行した。しかし解像度が低く結果と斜面地形との対応に不確実性があり、より解像度の高いデータによる土地被覆区分の検討が残されていた。そこで雲仙に対しASTERの反射率データをGISで解析した結果、1)NDVIの季節差分を除算した余りの分布から、複数の土地被覆区分スケールの存在を視覚化できること、2)2段階の土地被覆区分法でより現実に近い土地被覆区分が実施できること、が明らかとなった。