抄録
先進国の観光地をめぐる環境は、近年、劇的な変化に直面している。その変化は高齢化・人口減少、観光のさらなるグローバル化、観光行動の多様化と特殊化、消費者タイプの解体という現象にまとめられる。このような多様化は、観光者が様々な観光形態を求めるようになり、小規模で新しい観光形態と、団体や多くの個人観光者が同じパターンで行動する従来のマス・ツーリズムが同一の観光地で並存することを意味する。また、このような観光環境の変容に調整できない観光地は、観光地ライフサイクルにおける停滞または衰退に直面危険性がある。1960年代からマス・ツーリズムの拡大に伴って成長した先進国の観光地は現在、これらの影響を受け、衰退を避けるための再構築に取り組んでいる。そこで、再構築に向けた観光戦略を分析し、観光地の安定化、再生を目指す再構築過程を検討する必要がある。
本発表は、マス・ツーリズム型観光地の再構築過程の中で観光地がどのように変化しているのか、飛騨高山の事例から検討する。