日本地理学会発表要旨集
2009年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P927
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宮古島周辺沿岸域における海上マルチチャンネル音波探査結果
*越後 智雄郡谷 順英市川 清士小俣 雅志岩崎 孝明足立 幾久
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抄録
著者らは,文部科学省からの委託を受け,平成20年度活断層の追加補完調査のうち,宮古島断層帯について,海域でマルチチャンネル音波探査を実施した.以下に結果を報告する.
宮古島断層帯は,図1に示すとおり,活断層研究会(1991)などにより,主に北北西-南南東走向を示す活断層の分布が報告されている.新城,福里,長沼,与那原,野原の各断層系の南端は断崖になっており,断層の南方海域への延伸が,西部に分布する腰原,嘉手,来間の各断層系は,南方および北方への延伸の可能性が考えられる.そこで,図1に示すLine1(16.5km),Line2(8.8km),Line3(13.1km)においてマルチチャンネル音波探査を実施し,宮古島の南岸および西岸の浅層の地質構造の解析を行なった.断層の確実度は以下の3ランクで解釈した.
A: 明瞭な反射面の不連続や構造ギャップが確認できるもの.
B:反射面に不連続が確認できるが,繋がりが不明瞭なもの.
C:不連続が確認できるが他の要因の影響が考えられるもの.
LINE1(図2)ではAランクがCDP1320,1440,5360,5500,5670,BランクはCDP2550,3280,3950,5950,LINE2ではAランクがCDP2920,BランクがCDP2640,4400,LINE3(図3)ではAランクがCDP2750,5620,BランクがCDP4630,4940,6290,6370に認められ,パッチリーフの基部付近に断層の存在が確認された.以上より,新城,与那原,野原,腰原,嘉手,来間,牧山の各断層は,Line1~3によって南方への延長が考えられる.Line3のCDP2750に認められるAランクの断層は,来間断層の北方延長の可能性がある.また.嘉手断層または腰原断層は,Line3のCDP5620の断層を経て伊良部島の牧山断層に連続する可能性が考えられる.
以上より,陸域と同様の断層構造が海域まで延長することが確認された.今後は,海域での活動性の検討が必要である.
引用文献
活断層研究会編(1991):『新編日本の活断層-分布図と資料』,東京大学出版会,437p
中田 高・今泉俊文編(2002): 「活断層詳細デジタルマップ」.東京大学出版会,DVD-ROM 2枚・付図1葉・60p
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© 2009 公益社団法人 日本地理学会
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