抄録
ジオパークおよびジオツーリズムの議論は、日本において、まだまだ大きな広がりを見せているとは言いがたい状況にある。しかし、人々の自然環境理解を深め、自然環境の保全を図っていくために、大変重要な議論であることは間違いない。
本発表では、ジオツーリズムを地域づくりやそれに重心を置くエコツーリズムに欠かせない視点とみることで、重要性をより周知できるのではないかという考えを示す。また、そのとき地理学がどのように貢献できるのか、可能性を提示したい。
発表者はジオパークやジオツーリズムの専門家ではないが、地域とその多様性を理解し、次世代につなげていくためには、「ジオ」関連の地域資源について多くの人々に認識してもらう必要があると考えている。ここではジオツーリズムを、「地球科学(地学)的資源を主たる対象とするエコツーリズム」ととらえたい。そのうえで、日本地理学会2008年春季学術大会において開催されたシンポジウム「ジオパーク、ジオツーリズムの現在と可能性」をふりかえり、自然地理学、人文地理学といった枠にとらわれず「地理学」としてこの分野に貢献できる面や、地域理解促進および地域振興のために地理学が貢献できる面を、アイディアとして提示する。